1日目:朝食

衛宮邸の朝

 メシウマゲーことFate最初のご飯です。ホラー的な意味でもメシテロ的な意味でも、本作あまり深夜向けではない。

 鶏ささみと三つ葉のサラダ、鮭の照り焼き、ほうれん草のおひたし、大根とにんじんのみそ汁、ついでにとろろ汁まで完備、という文句なしの献立だ。

Fate/stay night 共通ルート1/31

 登場人物が、どんな状況でも敢えてきっちり食卓を囲んでちゃんとご飯を食べることを徹底している本作。それが何故なのかといったら他でもない主人公、衛宮士郎がそれに凄く重きを置いているから。一事が万事ですが、Rebirthのシーンで引用し損ねたのが以下の一節。

「―――さて。今日も一日、頑張って精進しよう」
 ぱん、と土蔵に手を合わせ、屋敷へと足を向けた。

Fate/stay night 共通ルート1/31

 お前はいつの時代の人なんだと突っ込みたくなるような台詞と所作ですが、事程左様に、士郎の生活は「丁寧」なのです。
 たとえば、届かない夢を抱いて正体の知れない焦燥に身を焼いている人物が、日常を顧みることができずに荒れた雑な生活を送る。これなら一つのテンプレートとしてとても分かりやすい。
 ですが士郎は、雲をつかむような夢を抱きながら、一歩一歩踏みしめるように日常を送る。日常を自分の居場所だと思えない、息をするのも苦しいようだと作者に評される人が、しかしその「自分のものだと思えないもの」をとても大切にしている。それが、彼に語らせずともその所作から伝わってくるところが、この作品の魅力の一つかと思っています。

 と、しみじみしたところでなんですが、穏やかな朝食は虎の暴走で幕を閉じるのでした。とろろは犠牲になったのだ

 なお、虎暴走の理由は、うっかり人前であだ名で呼んでしまった士郎です。脱兎の如く走り去る藤ねえ。自習になる英語の授業。「ルーズリーフで作られた学生名誉賞を受賞した」という士郎は割とクラスメイトから愛されてます。

 ニュースで新都の「連続」ガス漏れ事故が報じられているので、この時点でキャスターは既に大分蓄えを増やしている模様。ニュースに胸を痛めつつの登校シーン、「桜が合い鍵を持っている」ことが周回すると胸にきます。