1日目:朝の支度/鍛錬

朝の支度 – 間桐桜(Ⅰ)

[桜の手伝いをしに行こう。]を選択 

 桜に任せっきりじゃ申し訳ない、と手伝いに行くと、既に朝食は完成しています。せめて配膳くらいは手伝いたい士郎と、士郎にのんびりしていてほしい桜の意地の張り合い(ほのぼの)。

 見た目は「熱血主人公」な士郎ですが、基本的に「筋を通そう」とする男なので物言いは案外と理詰めです。その理詰めに負けずに最後は士郎を折れさせる桜も大したもの。一年半前には考えられなかった変化でしょうし、また、士郎の時間の基準が「時計」ではなく「桜」になっているところにも、彼らの関わりが感じられます。

 桜の想いが微笑ましいシーンですが、しかし士郎は自分を勘定に入れられない。人の喜怒哀楽はちゃんと察するのに、ともかく自分に向かう感情のレセプターが「好意につけ悪意につけ」ぶっ壊れている。所謂話の都合で耳が遠い系主人公ならまだ良かったのですが、彼の場合は自身の根っこを形成してる機能不全から回り回ってこうなっている。

 「やっぱり。先輩、分かってなかったんですね。先輩のおうちのご飯がおいしいのは、そういうコトじゃないんです」

Fate/stay night 共通ルート1/31

 と、寂しげにする桜に申し訳ないところですが、HFまで少々待って頂きましょうすまない桜。

朝の鍛錬 – 道場風景

[いつもの日課を済ませてしまおう。]を選択

 士郎の思考回路に添うなら桜の手伝いをする方が自然かと、あまり選ばない選択肢なのですが、こちらを選ぶことで開示される情報もいくつかあります。
 まず衛宮邸の道場の所以。家を建てる時、ついでだからと道楽で建てられたもの、とのこと。それから、士郎が今までどんなつもりで体を鍛えてきたのかが語られるのもこちらです。

 別に武術をやっているワケではないのだが、
『僕の真似事をするんなら、まず身体を頑丈にしとかないと』 なんて切嗣(オヤジ)に言われて以来、こうして体を鍛えるのが日課になったのだ。

(中略)

 自分はそう筋肉が付いてくれる骨格じゃないし、いくら体が資本といっても、殴り合いをしたいワケじゃない。
 身体能力は突然の事故に対応できる程度、自分の無茶がイメージ通りに実現できるだけで充分だ。
 そもそも自分のなりたいモノは、スポーツマンとは正反対なモノのワケだし。

Fate/stay night 共通ルート1/31

 士郎の「正義の味方」のイメージは「余さず助けられる人」で、それは必ずしも「闘う人」ではない。彼が自分の体に求めているのは「戦闘力」じゃなくて「無茶を実現する機能」「ツールとしての汎用性」だったんだな、という描写。実現するという言い回しがちょっと面白いです。自分の体をある結果を出力する機関と見なしているみたいな。
 この「衛宮士郎と身体性」とでも言うべき事柄は、半人前である士郎が自身の統御には秀でていることにも通じていて興味深いところです。