2日目:目覚め→朝→朝食

目覚め – 衛宮邸の朝

 夢うつつの士郎の記憶の再生として、魔術協会(主に神秘の隠匿の仕組み)について語られた後に起床です。

 時刻は五時半。
 どんなに夜更かしをしても、この時間に起きるのが自分の長所だ。昨日のような失態を犯すこともあるが、おおむね自分は早起きである。

Fate stay/night 共通ルート2/1

 だから背が伸びないのだと声を大にして言いたい。いや実際の所、Extraで開示された情報を同一存在として適用するなら、そもそも彼の体の成長を阻んでいたのは無茶な鍛錬自体だったとのことなんですが、しかし日付が変わってから魔術の鍛錬開始して、回路一本作成するのに一時間半。予想就寝時刻は二時近く。これが毎日だとすると平均睡眠時間四時間切ってますよナポレオンでも目指してるのか貴様は。

 PC版ではここに「 目覚まし時計はなんとなく堕落している気がするので子供の頃から使っていない」という記載が続きました。
 おそらく、Fateルート14日目に、「士郎がセイバーとのデートの前日に念のため遠坂に借りて目覚ましをかけた」という描写があるため、これと擦り合わせたものと思われ。もっとも、 元のままでも「ここばかりは寝坊できないので信条を曲げた」という点が強調される良さがあったかと思います。自律をもって善しとする士郎の人となりが現れた、個人的に気に入っていたエピソードですが。

朝 – 道場風景

 朝の鍛錬(筋トレ)二回目。初日の1/31に開示されたのは、道場が建てられた所以、及び、士郎がどんな目的で体を鍛えているのかという情報でしたが、こちらでは、道場で士郎が切嗣から何を学んだのかが語られます。

 切嗣が生きていた頃はここで何度も手合わせをした。
 と言っても一方的に痛めつけられただけだったから、戦いに勝つ術なんて身に付かなかった。
 ……それでもケンカと戦闘の違いぐらいは身に付いたと思う。
 ようするに、相手を倒すか殺すかの違い、その加減を知る事を教わったのだ。
 知識と経験は違う。
 あらかじめ知っておかないと、自分がケンカに巻き込まれたのか、殺し合いに巻き込まれたのかの判断をつけにくい。
(中略)
 魔術師にとって争いは殺し合いだ。だから切嗣が衛宮士郎に教えたかった事は、死地に面した時すみやかに覚悟できる心構えだったのだろう。

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 ケンカと戦闘、つまり「明確な指向性を持たない単なる暴力」と「殺意」の境界。士郎への教導がその定義付けから入ったというのと、かつ、それが体に教えるものだったっていうのが初見時印象的だった記憶です。士郎が、大事なことは大体身体が知っているタイプなのを含めて。
 また、この「死地に面した時すみやかに覚悟できる心構え」はこの後大いに士郎の命を救うのでした。……切嗣が、何もここまで覚悟を決めろと意図していたかどうかはさておき。

 それはそうと、ここで「優れた身体能力を持つ、という事も魔術師の条件の一つだ」という一文が出てきます。さもありなん、マナを濾過して魔力を精製する魔術回路を支えるのはその魔術師の身体。魔道の粋が「魔術刻印」、臓器のような「身体」として継承されることを含めて、魔術師の身体は魔道そのものと言って良い。魔法使いの夜のマイ天使のような例外はさておき、身体能力が求められるのも当然と思われます
 ……が、その果てにあるのがアニメUBWのエピローグで披露されたGOSHINJUTSUなのかと思うと、コルキスの王女に平謝りしたくなるのは何故であろうか。

朝食 – 衛宮邸の朝

 和気藹々とした美味しそうな朝食準備中、士郎が桜の手首の痣を発見したところで雰囲気が一変します。
 腕をのばすとやっと袖から覗く、うっすらとした痣。こういうものに気付いて、かつ、「気のせい」で済ませないんだから、この人は確かに周囲の人間に意識を向けてはいるし気に掛けてはいるんだよなぁと溜息をつく次第。少なくとも彼自身のことよりはよほど。
 
 さて、「すわ、また慎二のDVか」と歯がみする士郎。
 士郎がこう思ったのにも理由がありまして、慎二と士郎の仲違いは、「一年前、桜の絶えない怪我の事情を士郎が慎二に相談したところ、慎二があっさりDV宣言→カッとなった士郎が慎二をぶん殴った」という事情によるとのこと。
 この「カッとなった」というのに、一成の「衛宮はカッとなりやすい」という評を思い出すところ。何しろ、自分が不利益を被るのは流せても、他者に振りかかる理不尽には「我慢がならない」人なので。

 ここの会話で、士郎側にはそもそも慎二と喧嘩をしたという認識がなく、しかし慎二側はその一件以来目の敵にしているという構図が分かります。なんという慎二の独り相撲。
 加えてここで、士郎が弓道部を辞めた切っ掛けも語られます。

 くい、と右肩を指さす。
 そこにはちょっとした傷跡がある。
 一年半前の話だ。
 バイト中に荷物が崩れてきて、右肩を痛めてしまった事があった。怪我自体は骨折で済んだのだが、落ちてきた荷物が厄介なもので、肌にちょっとした焼き跡がついてしまったのだ。

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>怪我自体は骨折で済んだのだが、
 骨折で『済んだ』ってなんだ。

>肌にちょっとした焼き跡がついてしまったのだ
 『ちょっとして焼き跡』ってなんだ。

 ナチュラルボーン日本語の歪み。骨折は一般に大怪我であり、肌に焼け痕がつくっていうのは尋常の事態ではない……という私の認識が一般的なものだと信じたい。しかし視点である士郎当人の認識がこうなってるんだからどうにもこうにもなりません。

 さて、ここでは士郎に弓道部に戻ってほしい桜への、士郎の返答があります。

「当分は部活をしている余裕はないよ。弓は好きだけど優先するべき事じゃないし、しばらくは間を取ろうと思う」

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 士郎は大成した後でも魔術を射道八節で捉えてるくらい、弓の道に体が透ってる人です。その彼が(彼の表面上の主観においてはあっさり)弓道を止めたことに対する説明がこれというのが、また非常に彼らしい。 どうでもいい、のではなく、単に自分の「好き」の優先順位が低いだけっていう。